予防について
どうしてむし歯になるの?
食べかす(特に【B.糖分】)が残っていると、
【A.むし歯菌】がその【B.食べかす】を分解して、
ネバネバしたのり状の物質をつくり、
【C.歯の表面】に膜のように張りつきます。
これを歯垢といいます。
歯垢は【C.歯の表面】を溶かす酸をつくりだします。
歯垢の付着は【D.食事直後】から始まります
このようにA~Dの要因がからまりあってむし歯を作り出すのです。
これらの原因を取り除くことがむし歯予防へとつながります。
では、どのようにしてA~Dの原因に立ち向かえばよいのでしょうか?
【A.むし歯菌】には「歯磨き」が有効
むし歯菌はエサとなる汚れのたくさんある場所(歯ブラシが当たりにくい場所)を住みかにどんどん増えていきます。
「歯磨き」で汚れをとりましょう。
むし歯菌はここが好き
歯垢染色剤を使い歯磨きをしてみましょう
歯の汚れは歯とほとんど同じ色で、歯ブラシを当てていても本当に汚れがとれているのか不確かです。
そこで、汚れている部分を赤く染める歯垢染色剤を用いてどこに汚れがついているのか確認し、歯ブラシを当ててみましょう。
次回からの歯磨きの参考になります。
「磨いている」と「磨けている」は違います
時々染めだし液をつけて、磨き残しの確認をします。 赤く染まった所が磨き残しです。 |
磨いた後、赤い汚れは綺麗にとれています。 |
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【B.食べ物(特に糖分)】【D.食べる時間】には気を付けよう
- 食べかすが歯に残っていると、それをエサにむし歯菌が歯の表面を溶かします。
- 特に糖分(ショ糖)はむし歯菌の大好物です。
- 注意してみると、お菓子には意外と多くの糖分が含まれています。
- 特にジュースなどの飲み物は冷たくすると甘みが抑えられるため、かなりの量の糖分が入っています。
- 物を食べた後からすぐにむし歯菌は侵入してきます。
- だらだらと物を食べていると、お口の中はむし歯菌でいっぱいになっていまいます。
- 時間を決めた食事(規則正しい食生活)で生活リズムを作りましょう。
- 食後できればすぐに歯磨きをしましょう。
むし歯になりやすい食生活
むし歯になりやすい食生活をしていませんか?
毎日の様子を見直して、うまくコントロールしましょう。
C.「歯の質」は「フッ素」で強くなる。
フッ素には歯の表面をつくっているエナメル質を強くする働きがあります。
当院で行う、フッ素は4か月に1度の塗布で大丈夫です。
フッ素は定期的に適量使用することで効果が表れます(個人差はあります)。
むし歯予防にフッ素
表面が未熟でやわらかい小さな子どもの歯に、ミネラルの一種であるフッ化ナトリウムを塗ると、歯を固くして、むし歯予防することができます。
歯垢に対しては…
歯についてしまった歯垢・歯石を除去し、着色ステインを落とします。
さらに歯の表面をお薬で磨いてツルツルにすることによって歯垢を付きにくくします。
歯垢をためない、正しい歯磨きの仕方を習慣づけましょう。
当院では、これらの原因をケアしていくことで、
「むし歯になりにくい」「歯周病になりにくい」お口の中の環境をサポートしていきます。
歯磨きについて
食べたら磨く習慣を
むし歯の多い方は、むし歯菌を増やさないためにも食べたら磨く習慣をつけましょう。
むし歯とは、酸性になって歯が溶けること。
ダラダラ食べは、口の中を酸性の状態にする時間を長くすることをになります。
磨いているのに「磨けていません」と言われてしまう
当たっている場所が違うのかもしれません。 図のように歯ブラシを当ててみましょう。
歯ブラシの当て方
磨き方
歯ブラシについて
歯ブラシ、気にして毎日使っていますか?
- 家族みんなが同じ歯磨き粉を使っている
- なんとなくで歯ブラシを選んだ
- いつ変えたか分からない歯ブラシを使っている
・・・だったりしませんか?
親兄弟でも歯の型、歯質が異なります。
【歯石がつきやすく歯肉のハレが気になる】
→ 歯周病歯磨き粉
【歯質が弱く、むし歯が多い(多かった)】
→ むし歯予防の歯磨き粉
【お口が小さく、歯が大きい(歯列不正)】【磨いてもすぐ汚れが溜まる】
→ ヘッドの小さな歯ブラシ
【歯ぐきが下がって歯磨きすると痛い。
→ 毛先がフラットな歯ブラシ
【いつ変えたか分からない、いつ変えていいか分からない】
→ 少しでも毛先の列が乱れたら変えましょう。
毎日使う歯ブラシです。自分の歯を大切に。
少し気にしてみて下さいね!
歯磨きのあと、どうしてますか?
「特に気にしていません😁」
・・・気にしてください😅
★歯磨きのあとのすすぐ回数2回まで!
★歯磨きのあとは30分間飲食禁止!!
歯磨き粉にはフッ素が入っています。
この2つを守ることで、フッ素がお口の中に残り、歯質を強化してくれます。
すすぐ時はお口の中をよく動かすと、
- 唾液の分泌の促進
- ほうれい線を目立たなくする
- 歯垢除去
などの効果が期待できますよ!
歯ブラシの選び方
- へッドが大きいと、奥や歯並びの重なっているところなど磨き残しができてしまいます。ヘッドの小さいものを選びましょう!
- 歯茎と歯の境目(歯周ポケットといいます)に歯ブラシを当てた時、毛先がかたいと歯茎が傷ついたり痛みを感じやすくなります。
毛先は柔らかいものを選びましょう!
※ハレていると余計に痛みを感じやすいので、フラットの物が良いでしょう
気をつけること
- かたい毛の歯ブラシを使用したり、力が強いと知覚過敏の原因になります。
ペンを持つ持ち方で優しく持ちましょう!
汚れを落とすのは力加減でなく、当てる場所です。 - 毛の開いた歯ブラシを使用していると、きちんと磨けません。
キレイに並んでいなかったらすぐに交換しましょう。
交換頻度が速いと力が強すぎだと思われます。
補助用品も使用しましょう
歯垢がついていると、むし歯や歯周病のリスクが高まります。
歯と歯のくっついている部分(フロス)、歯と歯の間の隙間(歯間ブラシ)、歯の重なっている部分(部分ブラシ)など歯ブラシだけでは落とせない部分には使用しましょう。
歯磨き粉について
歯磨き粉は大きく分けると、むし歯予防用・歯周病予防用とあります。
ご自分の口腔内環境にあったものを選びましょう。
むし歯予防用
フッ素が多く含まれており、歯の質を強化する。又削らない程度のむし歯がある場合も進行を遅らせることができる。
歯周病予防用
歯周病菌の繁殖を抑え、ネバつきをなくす。出血している歯茎のハレをひかせる。
トータルケアのものもありますが、症状を早く改善させるためには効果の高い方を選びましょう。
お子さん用の歯磨き粉
間食が多く、磨き残しもあり“仕上げ磨きをさせてくれない”となると、どんどんむし歯が増えてしまいます。
今はいろんなフレーバーのものや、低発砲でフッ素配合のものもありますので必ず歯磨き粉を使用しましょう。
歯がしみる方
歯ブラシの力が強く、知覚過敏になってしまっている方は知覚過敏用の歯磨き粉を使用しましょう。
使用をやめるとまたしみてくる恐れがありますので、使い続けることをおススメします。
小さなお子さんの
歯みがきについて
Point① 寝かせて磨こう
保護者の方の膝の上にお子さんを乗せ、お子さんの両手・両足を保護者の方の両足で抑えます。
寝かせることで上の歯の奥がよく見え効率よく磨けます。
足でお子さんを固定してあげることで事故防止になります。
Point② 磨く順番を決めよう
順番を決めると磨き残しがなくなるだけではなく、短時間で磨けます。
Point③ 楽しくやろう
「歌を唄いながら・・・」
「声かけしながら・・・」
歯磨きタイムを親子の楽しい時間にしましょう!
忙しい毎日ですが「抱っこして歯磨き」で、お子さんとのスキンシップを図りましょう。
お子さんの成長を感じながら、楽しんで歯ブラシの習慣をつけましょう!
仕上げ磨きのポイント
歯ブラシは鉛筆持ちで、力を入れずに細かく動かします。上唇の内側と歯ぐきに歯ブラシが当たらないよう指で保護しながら、「イー」と「アー」の口にさせるのがポイントです。
むし歯になりやすいのは「上の前歯の外側」「奥歯の噛み合わせ」の2カ所です。
歯ブラシをくわえたまま遊ぶ・・・は危険!
歯ブラシへの興味は、こどもが歯磨き習慣を身につけるチャンス。でも、歯ブラシをくわえたまま遊ぶのは危険です。
安全性を考慮した歯ブラシを選び、大人が目を離さないようにしましょう。
歯ブラシを「2本使い」で
こどもが噛んで毛先が広がった歯ブラシでは、十分に歯垢が取り除けません。
そこで、パパ・ママによる仕上げ磨き専用歯ブラシとの2本使いが推奨されています。
※毛先の広がった歯ブラシの歯垢除去率は62%!
広がっていない歯ブラシと比べて4割もダウンします!
フッ素やキシリトールはむし歯予防の強い味方!
むし歯予防に毎日の歯磨きが必須!・・・でも、
「こどもにむし歯で痛い思いをさせるのはかわいそう」
「いつまでも健康でツヤツヤした白い歯でいてほしい」
「仕上げ磨きがちゃんとできているかな・・・」
などと不安になることもありますよね。
フッ素やキシリトールはむし歯予防の強い味方です。
乳歯が生え揃う時期からお子さんと楽しく美味しくむし歯予防しましょう!
フッ素塗布
「歯の質」は「フッ素」で強くなる
どうしてフッ素(フッ化物)でむし歯が防げるのでしょうか?
フッ化物を歯に作用させると、歯の表面から取り込まれ、歯の結晶(アパタイト)の一部になります。フッ化物を含んだ歯の結晶は普通の歯よりも丈夫になり、むし歯菌の出す酸に対してより強くなり、むし歯になるのを防ぎます。
また、歯のエナメル質のまわりにフッ化物があると一度脱灰した部分の再石灰化を促進し、エナメル質の補修がしやすくなります。最近の研究では、この再石灰化促進力の方がむし歯予防効果としては大きいとされています。
お口の中に生えた歯を強くしてくれるのは「フッ素」のみ
「むし歯予防」「歯質強化」のためにお家でフッ素を使おう
当院では、歯の汚れを落としながら「フッ素」を塗っていますが、ご家庭でも「フッ素」を取り入れ、むし歯予防の効果をさらに高めましょう。
※フッ素は自然界にある元素のひとつです。
むし歯予防のために使用されているフッ素は安全ですので、安心してお使いください。
(1回のフッ素使用量は0.2cc以下、中毒量は10kgのお子さんで1回50ccです)
フッ素の効果
- 歯の質を強くする
- 歯の修復をすすめる
- 歯垢(プラーク)の生成を抑える
フッ素入り歯磨き粉・フッ素ジェルでむし歯予防を
フッ素入り歯磨き粉
歯磨き粉を使う事により、汚れを落とすでけではなく、歯肉炎予防・口臭予防ができます。
歯磨きジェル
まだ、うがいが出来ないお子さんにも使えます(吐き出さなくていいジェルです)。
フッ素ホームジェル
「フッ素」トリートメント(歯磨き粉ではありません)。
塗った後は30分飲食しないでね・・・就寝前の使用がおすすめです。
2週間に1回、使用してください。
「フッ素」の種類は多種あります。お子さんの好みに合った「フッ素」を見つけ、使えるようにしましょう!
洗口剤について
むし歯菌や歯周病菌は、寝ている間に繁殖します。
むし歯予防の洗口剤は、お子さんから大人の方まで使えるものを選びましょう。
歯周病予防でお使いになる方は、歯周病用のものを選びましょう。
着色がつきやすい方
お茶やワインなどで歯に色がついてしまう場合
ホワイトニング用の歯磨き粉を検討される方もいると思いますが、ザラザラした研磨剤が含まれていると歯に傷がつき余計に着色がつきやすくなってしまいます。
定期的に歯のお掃除+トリートメントを行う事で歯の表面の傷が修復され、着色や歯垢がつきにくくなります。
リナメルホームケア
歯の表面についた傷を修復
歯の表面についた傷は、歯垢や着色が付着する原因となります。
リナメルホームケアを使用することで、傷ついた歯の表面を修復し、歯にミネラルを補給。
歯垢や着色をつきにくくし、むし歯を予防します。
こんな方におすすめ
- 着色のつきやすい方
- 歯に傷が多くツヤがない方
- トリートメント効果を長持ちさせたい方
おススメの磨き方
- 歯ブラシに1cm~2cm出して歯磨きします。
- 唾液を吐きだし、ゆすがずにもう一度歯に栄養(ミネラル)を染み込ませるように丁寧に磨いてください。
- 後味が気にならない程度にゆすいでください。
二度磨くことで、一度目はお口の中の汚れをからめとり、二度目でキレイになった歯の隅々まで栄養(ミネラル)を行き渡らせ、汚れがつきにくいツルツルの状態にします。
キシリトール
始めようキシリトール習慣
キシリトールを摂取すると、むし歯の原因菌であるミュータンス菌の活動を弱めることができ、
- むし歯が増えにくくなります
- 歯に汚れがつきにくくなります
- ついてしまった汚れが落ちやすくなります
などの効果があります。
続けているうちにお口の中がむし歯のなりにくい口腔内環境に!
①歯垢を落としやすくしたい方は、食後に摂取しましょう。
歯垢がサラサラになり歯ブラシで落としやすくなります。
②歯の質を強化したい方は、歯磨き後をお勧めします。
キシリトールを食べると歯の石灰化度が高くなる可能性があります。
③お口の中の粘つきを取りたい方は、寝る前に摂取しましょう。
キシリトールによって粘つきの原因となる菌が減る可能性があります。
小さいお子さんには
いつでも好きな時にパクっと食べるだけ!
タブレットもありますので、おやつの代わりに与えたり、歯ブラシを嫌がるようでしたらごほうびにあげましょう。
キシリトールは100%に近いものの方が効果的です。
記載されてない場合はキシリトール量÷炭水化物×100で、求めることができます。
〇歯磨きをイヤがるお子さんへのご褒美に
〇外出先でぐずった時に
〇お菓子の代わりに美味しくむし歯予防
こどもが食べても安心・安全!
キシリトールは天然素材の甘味料です。厚生労働省や国際機関(WHOやFAO)でも安全性が認められています。
1日あたり5~10gを3回に分けて食べるのがおススメです。
妊婦の方にもおススメ
妊娠中はホルモンバランスが崩れるため、歯肉がハレやすくなったり口腔内環境が乱れがちになってしまいます。
妊娠6ヶ月頃から摂り始めると、お母さんのお口の中だけでなく、胎児もむし歯のできにくい環境になるのでなるべく食べましょう。